構築ログ

5秒の動画に68分30秒。RTX 2070 SUPERでMiniMax H3を動かした記録

RTX 2070 SUPER 8GB・RAM 16GBのWindowsで、MiniMax H3の約5秒動画を生成。MacからTailscale経由でSSH操作し、Google Driveへ素材を集める構成と、導入時の失敗・実測時間・未検証の範囲を記録する。

RTX 2070 SUPERによるH3検証。約5秒の動画を68分30秒で生成した実測記録
実機検証の数値をまとめた説明図。生成画面のスクリーンショットではありません。

RTX 2070 SUPERの8GB VRAMと本体RAM 16GBで、MiniMax H3の動画を1本生成できた。映像は約5.17秒、生成キューの所要時間は68分30秒だった。

俺がやりたかったのは、手元のゲーミングPCを動画素材づくりにも使うことだ。MacからWindows機へ指示を送り、GPUを使って素材を作り、Google Driveの「〇素材」へ集める。この流れを作るため、AIエージェントと一緒に環境構築と実機確認を進めた。

今回のH3は動画生成モデルで、以前取り上げたMiniMax M3の言語モデルとは別だ。以下は2026年9月22日の検証記録である。快適に量産できる環境という結論ではない。まず短い1本を完成させ、その結果から運用できる範囲を考えるための記録である。

1. 最初にできたのは、赤いミニカーの動画

題材は、木製の机を赤いミニカーが左から右へ進む場面にした。人物や文字を含めず、動きと画面の破綻を確認しやすい内容だ。

今回の実機で生成したAI動画。静止画は約2秒地点から抽出。特定ブランドの公式素材や実写ではない。音声付きだが初期状態はミュート。

生成したMP4を見る・ダウンロードする

項目 今回の出力
映像 576×320、24fps、124フレーム、約5.17秒
音声 AAC、32kHz、ステレオ
設定 Seed 42、8ステップ、Profile 5
生成キューの時間 1時間8分30秒
結果 1/1件完了、終了コード0

FFmpegで全フレームと音声をデコードでき、WindowsとMacのファイルのSHA-256も一致した。指定した検出条件では黒映像や0.5秒以上の静止区間は検出されなかった。

ただし、プロンプトの細部まで満点というわけではない。先頭では車体の一部が画面外に出ている。音声は信号検査では小さめだった。耳で聞いた自然さや内容一致の評価は未実施である。

0・24・48・72・96・123フレームを並べた生成結果

先頭から末尾までの代表6フレーム。生成できたことと、素材として採用できる品質かどうかは別に判断する。

2. Macは操作、Windowsは生成、Driveは素材置き場

MacとWindowsをSSHでつなぐ設計図を、今回は実際の動画生成に使う。構成はシンプルにした。Macを操作端末にし、WindowsにWanGPとH3の実行環境を置く。モデルを計算するのはWindows側のGPUだ。

MacからWindowsへ指示を送り、生成素材をGoogle Driveへ同期する構成

MacとWindowsの間にはTailscaleのネットワークを使い、その上で通常のWindows OpenSSHへ接続した。Tailscaleの「Tailscale SSH」機能をWindowsのSSHサーバーとして動かした構成ではない。Tailscale公式の対応範囲

MacのRAMとWindowsのVRAMを足して使えるわけでもない。今回の生成中に必要となるRAM、モデルの読み込み、ディスクへの退避はWindows側の問題だ。Macは指示と確認を受け持つ。

今回の実生成はCLIで行った。ブラウザUIを利用する場合の起動・SSHトンネルも補助スクリプトに用意したが、UIからの生成操作を今回の成功実績に含めてはいない。

3. 8GB GPU向けに固定した条件

今回のWindows機はRTX 2070 SUPER 8GB、RAM 16GB。SSD上に専用の環境を作り、WanGPのコミットとPython・PyTorchの組み合わせを固定した。

項目 検証した構成
OS Windows 11 Home
Python / PyTorch 3.11.14 / 2.10.0+cu130
WanGP 59e55609067579415517b987acff1703bd45bdae
モデル MiniMax H3 FL2VA Pruned 20B、INT8 ConvRot
テキストエンコーダー 量子化したQwen3-VL-32B系
生成条件 SDPA、Profile 5、プリロード0
Turbo 公式のLightx2v FL2V Turbo 8 Steps v1.0

通常設定のステップ数だけを8に減らしたわけではない。公式同梱プリセットに対応するLoRA、倍率1.0、CFG 1、Flow Shift 12を組み合わせた。固定版の同梱設定

モデル類は11ファイルで合計約53.28GBになった。これは確認した資産一式のサイズで、Python環境や一時ファイルまで含めた必要空き容量ではない。

また、INT8は保存・量子化形式の話で、H3全体がINT8で計算されるという意味ではない。今回、--fp16の強制や未マージのsafe-FP16修正は適用していない。固定版のH3ハンドラーにはBF16を選択する処理があるため、「RTX 20系だからすべてFP16で動いた」とは書けない。固定版のH3ハンドラー

導入は、SSH確認、専用環境の導入、キュー検証、実生成、ファイル検査の順に進めた。再現用のコマンドと設定例は詳しいセットアップ手順にまとめている。手順・設定・補助スクリプト一式(ZIP)と今回のキュー設定も同梱した。

4. つまずいたのは、モデルより手前にもあった

最初から生成ボタンを押すだけでは済まなかった。今回は、実行経路を一つずつ確認する作業にも時間を使った。

Conda経由の複数行Pythonが実行できない。 Windowsのconda runから複数行のpython -cを渡す処理で失敗した。補助スクリプトではPythonコードをUTF-8のBase64にし、1行の引数で渡して復元する形に直した。

SSHから渡したPowerShellが待ち続ける。 エンコードしたコマンドで複雑な処理や外部プログラムを呼ぶと、今回の環境では処理が進まない例があった。.ps1を転送し、powershell.exe -Fileで実行する経路では完走した。補助CLIの通常経路にもこの方法を取り入れた。PowerShell一般の不具合と断定したわけではなく、この接続環境での対処である。

モデル取得に時間がかかる。 Windowsからの取得が遅かったため、同じ固定リビジョンの資産をMacで取得し、チェックサムを確認してからSCPで転送した。Windows側でも検証した。Mac経由なら常に速いという結論ではなく、今回の回線・取得経路に合わせた切り替えだ。

日本語の表示が崩れる。 Drive保存先の表示に文字化けが出たが、H3のPython環境から実際の日本語パスを開くと成功し、動画のハッシュも一致した。表示の文字コードと、実際に渡ったパスを分けて調べた。通常CLIの表示問題自体を恒久修正したわけではない。

この段階でGPUドライバーやページファイルを変更したり、常駐アプリをまとめて終了したりはしていない。環境全体を変える前に、どの処理まで通るかを確認した。

5. 68分30秒という結果をどう読むか

今回の生成時間のうち、デノイズは約55分53秒だった。残り約12分37秒はキュー時間との差分で、準備・読み込み・デコード・保存などをまとめた値になる。各工程を独立に計時した数字ではない。環境構築とモデルのダウンロードにかかった時間は、68分30秒には含まれない。

RTX 2070 SUPER 8GB / RAM 16GB約5.17秒の動画 → キュー時間 68分30秒デノイズ 55分53秒12分37秒その他:準備・読込・デコード・保存など環境構築・事前のモデル取得・転送後の検査は含まない576×320 / 124フレーム / 24fps / 8ステップ / Profile 5 / Seed 42
2026年9月22日・1回の実測。バーはキュー時間の内訳。デノイズも経過時間であり、純粋なGPU計算時間ではない。その他は差分で、工程ごとの個別計測ではない。

生成中の空きRAMは、ある測定時点で約95MiBまで減った。システム全体のディスク読み込みや待ち時間も観測された。メモリ不足に伴う読み込み待ちが遅さの一因と考えられるが、GPUの計算、モデルの転送、ディスク処理それぞれの寄与を測り切ったわけではない。

VRAMと本体メモリの違いが、待ち時間にも関わってくる。資材置き場に余裕がなければ、そのたびに取りに戻る。今回の動きを理解するには近い比喩だが、それだけで「RAMを増やせば何倍速い」と計算することはできない。

ここで言えるのは、この構成・この設定で、短い1本が完成したということまでだ。2本目の速度、反復安定性、高解像度、長尺、VRAMの全期間ピークは未確認である。

6. 完成素材はGoogle Driveの「〇素材」へ

初回の動画はWindowsのローカルSSDに保存した。その後で「〇素材」へコピーし、Drive上のファイル情報、MacとWindowsの同期ファイル、SHA-256の一致を確認した。

続いて、今後のH3出力先をWindowsのGoogle Drive同期フォルダへ変更した。今回の例では I:\マイドライブ\〇素材 だ。ドライブ文字は各PCの設定に合わせて置き換える。

導入・検証・生成・検査・保存の手順と利用条件

変更後はキュー検証に合格し、H3のPython環境から同期済み動画を読み書きモードで開けることを確認した。ただし、保存先をDriveへ変えた後に、もう1本を新規生成する試験はまだ行っていない。設定・アクセス・既存動画の同期確認と、最初の生成実績を混ぜないように記録している。

運用時には、PCが起動してスリープしていないことに加え、WindowsにログインしてGoogle Driveが動いている必要がある。今回のPCではSSHとTailscaleの自動起動、Driveのログイン時起動、AC接続時の自動スリープ無効を確認した。Driveデスクトップ版の公式案内

生成中はSSH接続を維持する。今回の補助スクリプトは、切断しても生成が続く常駐ジョブや、自動再試行つきの素材配信サービスまで作ったものではない。

まずは、同じキューで1本完成させ、時間と出力を残す。そこまで測ってから、動画の品質、待てる時間、次に変える条件を決める。今回得られたのは、その判断に使える最初の1本だった。

買い替えも含めて構成を比べるなら、今週のセール機をVRAM基準で仕分けた表と二刀流ランキングへ。ただし、この1回の結果から別のPCでのH3の速度を予測することはできない。

出典と検証データ

本稿は2026年9月22日の単一環境での検証記録であり、同じGPUでの速度やすべての設定の動作を保証するものではない。