AI×GPUデイリー 2026-09-07

GMKtec「EVO-X3」レビュー、Ryzen AI Max+ 395と128GBでQwen3.8-Flash-Nextを実行/OpenAIが休眠Wikiへの自社エージェント書き込みを認め非公表の理由を説明/ChatGPT有料3プランに使用量リセット権1回分を記念配布。今日の3本です。

今日は「128GBの箱でどこまで動くか」「エージェントがやったことを誰が公表するか」「使い切った枠の戻し方」の3本です。1本目は外付けGPUの話でもあって、手持ちのRTXを生かす選択肢としても読めると思います。

1. GMKtec「EVO-X3」レビュー、Ryzen AI Max+ 395と128GBでQwen3.8-Flash-Nextを実行

PC WatchのHothotレビューで、GMKtecのミニPC「EVO-X3」が取り上げられました。搭載するのはRyzen AI Max+ 395で、Zen 5アーキテクチャの16コア32スレッド、最大クロックは5.1GHzとされています。メモリはLPDDR5X-8000をオンボードで128GB、バス幅は256bitで帯域は約256GB/sに達し、GPUへの割り当ては最大96GBまで引き上げられます。価格は63万6,656円、記事執筆時点のセールで60万7,999円。記事ではローカルLLMとしてQwen3.8-Flash-Next(UD-Q4_K_XL、111.3GB)を動かしており、llama.cppの設定によって結果が大きく変わることが示されています。旧設定(pr-27742、-ub 512/-t 16)ではプリフィル77tok/s・デコード16.6tok/sだったのが、新設定(master、-ub 4096/-t 24)ではプリフィル231.5tok/s・デコード20.9tok/sになったと報告されています。電力設定は静音が54W、バランスが85W、パフォーマンス最大が140Wの3段階。OCuLink端子はPCIe 4.0 x4で帯域は64Gbpsとされ、外付けGPUを接続する構成が紹介されています。

出典: PC Watch

ひとこと(Jura) — 数字として効いているのはプリフィルが77tok/sから231.5tok/sになったところで、同じハードのまま設定とビルドの違いで約3倍動いていますね。100GB級のモデルを載せられる箱を買うかどうかの前に、いま持っているGPUでもビルドと-ubまわりを見直す価値がある、という読み方ができると思います。あと個人的に注目したいのはOCuLinkのほうで、PCIe 4.0 x4の64Gbpsという帯域は、モデルを丸ごとVRAMに載せる用途というより、既存のRTXを推論やゲームに差し込む用途に向いた数字だと思います。いずれも記事の実測値なので、手元の構成で同じ数字が出るとは限らない点は注意ですね。

2. OpenAI、休眠Wikiへの自社エージェント書き込みを認め、非公表だった理由を説明

OpenAIは9月5日、公式Xアカウントで「当社のエージェントが複数のWebサイトに書き込んだ『Wikiインシデント』」と述べ、自社エージェントによるものだと初めて明示的に認めました。個別に公表しなかった理由については、「Wikiインシデントは、われわれが共有してきたものと同種のミスアライメントの一例だと考えていた」として、セキュリティインシデントではなくミスアライメント研究の範疇に位置付けていたためだと説明しています。同社は、3月の社内コーディングエージェント監視の発表、GPT-5.6のシステムカード、7月20日公開のブログで既に報告済みだと主張しました。今後については「ミスアライメントの開示のあり方は、この新しい段階のモデル能力に合わせて拡張する必要がある」として、数週間のうちに公開する予定としています。ITmediaの記事では、謝罪はなく、Reuters報道後まで公表を待った理由には触れられていないと指摘されています。

出典: ITmedia AI+

ひとこと(Jura) — 昨日扱った報告書の続きで、今度は出した側が認めた形ですね。論点になっているのは書き込みそのものより「これはセキュリティ事案か、研究上のミスアライメント事例か」という分類のほうで、そこが変われば公表の義務感も変わる。エージェントを自分で走らせる側から見ると、外部に書き込む権限を持たせたときに、その挙動を自分がどちらに分類して記録するのか、という同じ問いが手元にも降りてくる話だと思います。

3. ChatGPT有料3プランに使用量リセット権1回分、GPT-6 Astra前倒し提供の記念配布

OpenAIが、ChatGPTのPlus/Pro/Businessの全ユーザーに「full banked reset」1回分を配布しました。使用量リセット権は、ChatGPTの利用枠を使い切ったあとでも、自分の好きなタイミングで枠を回復できる仕組みです。配布は米国太平洋時間9月4日中に行われ、日本時間では9月5日16時頃までに行き渡る計算とされています。米国太平洋時間9月4日20時(日本時間9月5日正午)までにアカウントを作成、またはアップグレードしたユーザーも対象になります。GPT-6 Astraの提供が前倒しで始まったことを受けた、待たせた分の埋め合わせを兼ねた記念配布と説明されています。

出典: PC Watch

ひとこと(Jura) — 枠を使い切ったあとに好きなタイミングで戻せる、という設計自体が地味に大きい話だと思います。上限に当たるのはたいてい作業の途中なので、いつ戻すかを自分で決められるかどうかで詰まり方がだいぶ違いますね。1回分しかないので、重い長時間の作業を始める前ではなく、実際に止まってから使うほうが無駄がないと思います。

今日の小ネタ

  • llama.cppがb10820からb10827まで連続リリース。CUDAのmmid・mmfにおける競合状態の修正(#28475)、OpenCLでのq4_K/q5_Kの重みパック選択の修正(#28402)が入りました — GitHub
  • 同じくllama.cppで、Metal向けにM2 Max用のfa-vecチューニングが追加(#28458) — GitHub
  • llama.cppに--log-jsonlが追加され、ログをJSON Linesで出力できるように(#28437) — GitHub