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ゲーミングPCのメモリ増設 — DDR5の規格・空きスロット・最大容量の見方と、AI開発で64GB/128GBが効く場面

ゲーミングPCのメモリ増設で失敗しないために、DDR4とDDR5の違い、空きスロット・最大容量・デュアルチャネルの読み方をIntel/AMD/Corsair/ASUSの公式資料から整理。AI開発で64GB・128GBが効く場面と、増設時の注意点も。

マザーボードの4本のメモリスロットのうち2本にモジュールが刺さり、残り2本が空いている様子を上から見たイメージ
AI生成のイメージ画像です

メモリは32GBで始めて、空きスロットがあれば64GBへ。AI開発(オフロード・MoE)では128GBが現実解になる場面がある。

ただし「あとから足せるか」は買った瞬間に決まる。手取り19万の施工管理技士としては、GPUを1ランク上げる金はなくても、メモリを2本足す金なら何とかなる。だからこそ、足せる本体を選んでおきたい。

この記事は「増設してみた」記事ではない。Intel・AMD・Corsair・Micron・ASUSの公式資料に書いてある事実だけを、BTOの仕様表の読み方に落とし込んだものだ。出典は末尾にまとめた。

選び方の記事で「GPU→メモリ→CPU」の2番目に置いたメモリを、ここで一段深掘りする。

DDR4とDDR5は「別物」。混ぜられないし、選べもしない

まず規格の話。今のゲーミングPCのメインメモリはDDR4かDDR5のどちらかで、この2つは物理的に互換性がない。

Corsairの公式解説によれば、DDR5はDDR4とピン配置が違い、モジュールの切り欠き(ノッチ)の位置もずれている。無理に差すとメモリかスロットが壊れるおそれがある、とはっきり書かれている。

そして規格はユーザーが選ぶものではなく、CPUとマザーボードで決まる。Intelの公式一覧では、第12〜14世代CoreはDDR4-3200とDDR5(第12世代は4800、第13・14世代は5600MT/s)の両対応だが、Core Ultra 200SはDDR5-6400のみ。AMDのRyzen 9000(Socket AM5)もDDR5のみだ。

マザーボードもDDR4用かDDR5用のどちらか一方で、Corsairは「通常どちらか片方しかサポートしない」と書いている。

数字で見るとDDR5の変化はこうだ(Micron公式)。

  • データレート: DDR5は4800〜8800MT/s(DDR4は最大3200MT/s)
  • 電圧: 1.1V(DDR4は1.2V)
  • 1モジュールを2つの独立した32bitチャネルに分割
  • チップ内蔵のオンダイECC

CorsairはDDR4のモジュール上限を32GB、DDR5は理論上128GBと書いている。

増設の話に戻すと、覚えることは一つ。今DDR4のPCにDDR5は足せない。逆も同じ。 仕様表の「DDR4」「DDR5」の文字が、増設できるメモリの種類を決める。

空きスロット・最大容量・デュアルチャネル。仕様表はここを読む

デスクトップのマザーボードは、メモリスロットが4本のものが主流だ。スロットにはA1・A2・B1・B2という名前がついていて、AとBが「チャネル」。2本のチャネルに1枚ずつ差すと、2枚を同時に使うデュアルチャネルで動く。

マザーボードのメモリスロットA1A2B1B2チャネルAチャネルB2枚差し = A2+B2(CPU側から2番目と4番目)増やす道筋32GB16GB×2A2+B2差し替え64GB32GB×2A2+B2に差し替え追加128GB32GB×4A1+B1に追加4枚差しは公称の対応速度が下がる場合がある(AMD公式の例: 2枚 DDR5-5600 → 4枚 DDR5-3600)BTO購入時に確認する3点① 空きスロット数仕様表の「スロット4(空き2)」空き2本なら差し替えなしで増設可空き0なら全交換になる② DDR4かDDR5か切り欠き位置が違い物理的に混在不可CPU世代とマザーで決まる増設は「今と同じ規格」一択③ 最大容量CPU・マザーの上限(192〜256GB級)ショップ表記の上限が別にある例: 最大64GB止まりのモデルも
スロットと増設の道筋。2枚差しはA2+B2(CPUから2番目と4番目)が各社マニュアルの推奨位置。32GBから先は「差し替え」か「空きに追加」の二択で、空きがなければ全交換になる。買う前に見るのは下段の3点。

どのスロットに差すかはマザーボードのマニュアルに「推奨構成」として書かれている。ASUSの公式FAQでは、1枚ならDIMM_A2、2枚ならDIMM_A2とDIMM_B2、4枚なら全部、が推奨だ。2枚差しがCPU側から2番目と4番目になるのは、ここに由来する。

現場でいえば、資材置き場の搬入口が4つあって、そのうち2つが使用中という状態だ。残り2つが空いていれば追加搬入できる。4つとも埋まっていたら、いったん全部出して積み直しになる。

BTOの仕様表で見るのは3点だ。

仕様表の表記例 意味 増設の余地
32GB(16GB×2) / スロット4(空き2) 2枚でデュアルチャネル。2本空き 16GB×2を足して64GB(4枚)。または32GB×2に差し替え+追加で128GB
32GB(32GB×1) / 空き3 1枚差し=シングルチャネル 同じ32GBをもう1枚足して64GB+デュアル化
64GB(16GB×4) / 空き0 4本すべて使用中 追加は不可。32GB×4への全交換で128GB
最大メモリ 64GB ショップまたはマザーの上限 64GBで頭打ち。128GB狙いなら別モデル
DDR4-3200 前世代の規格 DDR5には移行不可(マザー・CPUごと交換)

最大容量には2つの壁がある。ひとつはCPUとマザーの上限で、Intelの公式一覧では第13・14世代Coreが192GB、Core Ultra 200Sが256GB。AMD Ryzen 7 9700Xの公式仕様も256GBだ。もうひとつはショップの構成上限で、BTOショップ比較で見た通り、TSUKUMOは公式ページで最大64GB、アークは128GB搭載モデルがある。

もうひとつ、4枚差しの落とし穴。AMDのRyzen 7 9700Xの公式仕様では、対応メモリ速度が2枚(1Rank)でDDR5-5600、4枚ではDDR5-3600に下がる。Intelも「最大メモリ速度は1チャネルあたり1枚(1DPC)構成での値」と注記している。128GBを32GB×4で組むなら、速度の公称値はこの前提で読む必要がある。

AI開発で64GB・128GBが効く場面

ゲームだけなら32GBで困る場面は少ない。効いてくるのはAI側だ。

ひとつ目はVRAMからのオフロード。ローカルLLMのスペック記事で書いた通り、llama.cppやOllamaはVRAMに収まらないモデルの一部をメインRAMに置いて動かせる。速度は落ちるが、「動かない」と「遅いが動く」の差は大きい。

ふたつ目はMoE(Mixture of Experts)モデル。総パラメータの大半を占めるエキスパート層をメインRAMに置き、GPUには毎回動く部分だけを載せる分担が、llama.cppに公式オプションとして用意されている。この動かし方だと、必要なのはVRAMよりメインRAMの総量だ。

MiniMax M3の記事で電卓を叩いた結果は、メインRAM128GB以上が現実的なライン。ここで効くのが「空きスロットと最大容量」だ。

32GB(16GB×2)で買ったPCの空きスロットに16GB×2を足せば64GB。128GBが要る日が来たら、32GB×4に組み替える。空きスロット2本と最大容量128GB以上が仕様表にあれば、この道筋を全部歩ける。

増設するときの注意。揃える・QVL・XMP/EXPOは公式の範囲で

規格が合っていても、混ぜ方で転ぶことがある。公式資料に書かれている注意点を3つ。

同容量・同規格で揃える。 Corsairの公式FAQは「複数のキットを組み合わせることは強く推奨しない」と明言し、まず優先チャネルのスロットに順番どおり差すよう案内している。増設時も「16GB×2のキット」を1セット足す形が基本だ。

マザーボードのQVLを見る。 QVL(Qualified Vendor List)は、マザーボードメーカーがそのマザーで動作検証したメモリの一覧だ。ASUSの公式FAQでは、サポートページで型番を検索して確認でき、「QVLどおりでも安定しない場合はBIOSを最新にする」とも書かれている。増設前にBIOS更新の有無も見ておく。

XMP/EXPOは「公式の範囲内」を確認する。 メモリの箱に書かれた「DDR5-6000」のような速度は、多くの場合XMP(Intel)やEXPO(AMD)のプロファイルを有効にしたときの値だ。Intelの公式ページによれば、XMPを有効にしない状態ではメモリはJEDEC標準の設定で起動する。XMP 3.0はDDR5専用で、最大5つのプロファイル(メーカー3+ユーザー2)を持てる。AMD EXPOも同じくSocket AM5のDDR5向けだ。

IntelもAMDも、公式に「仕様外の周波数・電圧で動かすと製品保証が無効になる場合がある」と明記している。BTOで買ったPCなら、ショップの保証条件も合わせて確認する。CPUの公称速度(Intel第14世代なら5600、Core Ultraなら6400、Ryzen 9000なら5600MT/s)の範囲で使うのが、いちばん安い保険だ。

今週のセール機を「空きスロット」で見る

ここまでを踏まえて、BTOの構成ページで見る順番はこうなる。

  1. DDR4かDDR5か(CPU世代で決まる。今から買うならDDR5)
  2. 搭載容量と枚数(32GBは16GB×2か、32GB×1か)
  3. 空きスロット数と最大容量(空き2本・128GB以上なら道筋が全部ある)

同じ「32GB」でも、16GB×2で空き2本か、32GB×1で空き3本かで次の一手が変わる。仕様表に枚数と空きが書いてあるモデルを選ぶのが最初の一歩だ。

今週のセール機の表ではVRAMと並べてメモリ容量を載せている。二刀流ランキングと合わせて、「今32GB、将来64GB以上」が描ける1台を探してほしい。

GPUは換装できる。メモリも足せる。ただし、足せるのは空きスロットがある本体だけだ。


※本記事は各社の公式資料に基づく解説です。対応メモリ・最大容量・推奨スロットは製品ごとに異なるため、購入・増設前に必ずCPU・マザーボード・BTOショップの公式仕様をご確認ください。メモリのオーバークロック(XMP/EXPO)は各社の保証条件に影響する場合があります。

出典