自作とBTO、総額はどこで差がつくか — 公式に金額が書いてある項目だけを積む

自作PCとBTOの総額差を、日々動くパーツ実売価格ではなく公式に公表されている項目だけで比べる。Windowsのライセンス代、BTOの送料と延長保証の料率、CPUやバルク品の保証期間、処分時の回収費用を公式記載ベースで整理した。

ばらばらのパーツがそれぞれ別の受付窓口につながり、隣ではひとつの木箱が単一の窓口につながっている様子のイメージ
AI生成のイメージ画像です

自作とBTOの差は、パーツ代ではなく「OS・保証・処分」に残る。

パーツを一つずつ買って組む方式と、ショップの完成品を買う方式。どちらが安いかは、パーツの実売価格が毎週動くので、その日の相場でひっくり返る。

だから今回は相場の話を外した。公式サイトに金額や年数が書いてあって、当分動かない項目だけを並べる。

Windowsのライセンス代、BTOの送料と延長保証の料率、CPUやバルク品の保証期間、そして捨てるときの回収費用。この4つは、パーツ代がどう転んでも残る差だ。

2026-09-22に各社・各団体の公式ページを読み、書いてあることだけをまとめた。順位は付けない。相見積もりと同じで、項目を揃えて並べるところまでがこの記事の仕事だ。

ショップ側の条件そのものはBTOショップ10社の比較に、構成の決め方は用途別のBTO構成に書いたので、今回は「支払いと保証の形」に絞る。

総額の式を、同じ形に揃える

見積書を並べるときと同じで、まず式の形を揃える。

支払い項目(公式に金額が出ている分だけ)自作BTO(ショップの完成品)パーツ代(実売は動くので比べない)本体価格(パーツ+組立+OS込み)Windows 11 Home 19,360円(税込)OSライセンス 本体価格に込み差送料 パーツごとに通販各社の規定送料 2,920円(サイコム・全国一律)保証 各パーツのメーカー保証のみ延長保証 本体の5%〜10%(任意)差処分 所定の回収再資源化料金(有償)処分 購入した販売店に回収依頼差故障したときの連絡先CPUAMD / Intel(箱入り3年)CPUメモリ・SSD購入店 → 代理店メモリ・SSDマザー・電源各メーカー・代理店マザー・電源ショップの窓口1年〜3年・センドバック自作は部位ごとに窓口と期限が違う。BTOは1つにまとまるかわりに、構成の自由度がショップの選択肢で決まる
上=同じ1台でも支払い項目の並びが違う。枠のある3行(OS・延長保証・処分)が、パーツ代を抜きにしても残る差。下=故障したときの連絡先の数。自作は部位ごとに分かれ、BTOは1つに集まる。金額と年数はMicrosoft・サイコム・FRONTIER・AMD・Intel・パソコン3R推進協会の公式記載(2026-09-22確認)。

自作の総額は「パーツ代 + Windowsライセンス + パーツごとの送料 + 処分費」。BTOの総額は「本体価格(OS込み) + 送料 + 延長保証(任意) + 処分費」。

この式でパーツ代を消すと、残るのはOS・保証・処分の3項目になる。ここは公式に金額や条件が書いてあるので、相場と関係なく比べられる。

公式に金額が書いてある項目

項目 自作 BTO(公式記載の例)
OSライセンス Windows 11 Home は Microsoft Store で19,360円(税込) 本体価格に含まれる
送料 パーツごとに各通販の規定 サイコムはBTOパソコン1個につき2,920円(税込・全国一律、梱包資材費込み)
標準保証 各パーツのメーカー保証(例: AMDの箱入りCPUは購入日から3年) サイコムは1年、FRONTIERは1年、マウスは3年無償(2023年4月11日以降に流通した新型番)
延長保証 基本は各パーツのメーカー保証がそのまま上限。延長や交換の有償サービスはショップごとの規定による サイコムは税込8万円超で本体価格の5%、8万円以下は一律4,000円。FRONTIERのプレミアム保証は3年で本体価格の10%(公式の例: 25万円 → 25,000円)
処分 所定の回収再資源化料金(有償・前払い) 販売店が組み立てた完成品は購入した販売店に回収を依頼する

Windowsの19,360円は Microsoft Store の Windows 11 Home のページに出ている税込価格で、BTOの本体価格にはOSが入るぶん、自作側だけに立つ費用になる。

延長保証はBTO側の有償オプションだが、FRONTIERの公式ページには「本体価格の商品小計250,000円 → 加入金額25,000円(250,000円×10%)」という計算例がそのまま載っている。25万円クラスの1台なら、3年の安心に2万5千円という値札が公式に付いている、という読み方になる。

マウスコンピューターは標準で3年無償と公式に書いてあり、保証の追加費用が0円の側に入る。ここは各社でかなり形が違うので、今週のセール機を並べた表で機種を見るときも、値札と一緒に保証の行を見たほうがいい。

保証の差は「年数」より「窓口の数」

自作にも保証はある。ただし、パーツごとに別々に付いてくる。

AMDは公式の限定保証規定で、リテールパッケージ(PIB)のプロセッサを「購入された日から3年間」保証すると書いている。インテルも、ボックス版プロセッサは一般に3年の限定保証で、トレイ品は購入先またはOEMメーカーの保証になると公式サポートに書いている。

CPUだけ見れば、BTOの標準保証1年より長い場合すらある。差が出るのはそこではなく、連絡先の数と、保証の切れ目だ。

AMDの規定には、こういう一文がある。

本限定保証は、不適切な使用、電力に関する問題、事故、放置、改造、修理、不適切な設置、または不適切なテストを含む外部要因による損害を一切対象としません。

さらに「AMDプロセッサの取りはずしまたは交換に関連する費用」も対象外と明記されている。保証請求の窓口についても、システムの保証期間中は「コンピューターシステムのメーカーまたは販売代理店」へ、と書いてある。自作にはそのシステムメーカーがいないので、部位ごとに自分で切り分けて、自分で送る。

対してBTOは、窓口が1つに寄る。サイコムの保証・免責事項には「BTOパソコンはすべて初期不良期間30日間、保証期間1年間(延長保証にご加入頂いた場合は3年間)」「修理につきましてはすべてセンドバック方式」「初期不良期間中は往復の送料を弊社が負担」「その後の保証期間中は送料の片道をお客様でご負担」と、期間と送料の負担まで書いてある。

現場でいうと、自作は職種ごとに直接発注する方式で、BTOは元請けが1社入る方式だ。単価は前者が有利なことが多いが、不具合が出たときに誰が切り分けるかが違う。

初期不良には期限がある

自作側でいちばん見落としやすいのが、初期不良の受付期限だ。

ツクモの通販ページには、PCパーツ類は商品到着後30日以内に相談フォームへ連絡すること、31日以上経過した商品は対応できない場合もあることが明記されている。

バルク品(簡易梱包のパーツ)の保証はさらに短い。同ページの記載では、ハードディスクは工場出荷日より1年または代理店の保証期間、光学ドライブは1年間、そしてメモリやボード類などその他のバルク品は1ヶ月保証となっている。

つまり自作は、パーツが全部届いてから「組んで、起動して、一通り動かす」までが期限つきの工程になる。GPUだけ後回し、メモリは来月、という買い方をすると、動作確認より先に受付期限が切れることがある。

段取り八分と同じで、着工日を決めずに資材だけ先に入れると、置き場と期限の管理コストが自分に返ってくる。メモリやストレージを後から足す前提で組むなら、メモリ増設の選び方とGPU換装と電源容量で先に上限を確認しておくほうがいい。

捨てるときに、もう一度差が出る

ここはほとんど語られないが、公式に区分が決まっている。

パソコン3R推進協会は、「回収するメーカー等が存在しないパソコン」の例として、**自分で組み立てた、頼んで組み立ててもらった、又は知人が組み立てたものを譲り受けた『自作パソコン』**を挙げている。この区分に入ると、協会が有償で回収する。

同じページには、販売店が組み立てた完成品(ショップブランド等)を購入した場合は、購入した販売店に回収を依頼するように、とも書かれている。BTOで買った1台は、こちら側の扱いになる。

協会の引渡規約では、回収再資源化料金は回収前の前払いで、支払いが確認できない場合は回収を行わない、支払いから30日以内に引渡しがない場合は申込みが撤回されたものとみなす、と定められている。料金の金額そのものは申込み時に案内される形で、公式ページには一律の額が出ていない。

協会のページには「『PCリサイクルマーク』が付いていないパソコンは、回収再資源化料金が必要です」と書かれ、マーク付きの機器は無償回収で料金の支払いは不要とされている。「マークが付く経路で買ったか」が、数年後の出口を決めるということだ。

二刀流の視点で、どこを見るか

ゲームとAI開発を兼ねる1台という前提で、この記事の材料を使うなら見る順番はこうなる。

  1. OS込みかどうかを先に揃える。 自作の見積もりにWindowsの19,360円を最初から入れておく。入れ忘れると、あとで1万円台の差がひっくり返る
  2. 保証の窓口を何個にしたいか決める。 切り分けを自分でやる前提なら自作、1社に投げたいならBTO。マウスのように標準3年のところもあれば、FRONTIERのように3年に本体の10%を払う形もある
  3. 増設の予定があるなら、上限と保証条件を買う前に読む。 AMDの規定は「不適切な設置」を保証対象外と書いている。BTO本体を開ける場合の扱いは各社の規定で違うので、増設前提なら購入前に確認する

条件を決めてから機種を見たい人向けに、VRAMとメモリの最低ラインで機械的に並べた二刀流ランキングも置いてある。

出典

いずれも2026-09-22に確認した。


最強の1台より、外せない2点を外さない1台。総額でいえば、外せない2点はOSの行と、故障したときの連絡先だ。

※本記事は各社・各団体の公開情報(2026-09-22時点)に基づく解説です。金額・保証条件は予告なく変わるため、購入前に必ず公式ページをご確認ください。記事内に体験談・推奨順位は含みません。