GPU比較

RTX 5080 vs RTX 5090 — VRAM 16GBと32GB、AI用途で32GBが要る場面を公式スペックで仕分ける

RTX 5080は16GB、RTX 5090は32GB。NVIDIA公式の公称値と、Ollama・FLUX.1の公表サイズから「5090でだけ収まるモデル」の帯を割り出す。帯域・電力・BTO実売の差も並べ、32GBに払う意味がある人を整理した。

小さな資材置き場と倍の広さの資材置き場が並び、大きいほうにだけ長い資材の束が収まっているアイソメ図
AI生成のイメージ画像です

RTX 5090に払う差額の中身は「16GBには入らず、32GBなら入るモデル」の帯だ。その帯を使わないなら、5080で足りる。

RTX 5070 Tiと5080の比較では、どちらもVRAM 16GBで「載るモデルは同じ」という話をした。16GBの次の器は、RTX 50シリーズのデスクトップ向けだと32GBのRTX 5090まで飛ぶ。

器が倍になる代わりに、値段も電力も跳ね上がる。俺はどちらのカードも持っていないので、この記事はNVIDIA公式の仕様表と、出典を明記できる公表サイズだけで組む。

公式スペック比較(NVIDIA公式サイト、公称値)

RTX 5080 RTX 5090 比(5090÷5080)
VRAM 16GB GDDR7 32GB GDDR7 2倍
メモリバス幅 256-bit 512-bit 2倍
メモリ帯域幅 960 GB/s 1,792 GB/s 約1.87倍
CUDAコア数 10,752 21,760 約2.02倍
ブーストクロック 2.62GHz 2.41GHz —
AI TOPS 1,801 3,352 約1.86倍
グラフィックスカード電力 360W 575W +215W
必要なシステム電力 850W 1,000W +150W
補助電源 8ピン×3(アダプタ付属) または 450W以上のPCIe Gen 5ケーブル 8ピン×4(アダプタ付属) または 600W以上のPCIe Gen 5ケーブル —
NVENC / NVDEC 2基 / 2基 3基 / 2基 —
発表時の米国価格 999ドル 1,999ドル 約2倍
発表時の国内参考価格 198,800円〜 393,800円 +195,000円

出典: NVIDIA公式 RTX 5090・RTX 5080の仕様表、帯域幅はNVIDIA公式の比較ページ(2026-10-10閲覧)。米国価格は2025年1月6日のNVIDIA発表、国内参考価格はGAME Watchの報道。

5070 Tiと5080の差は「演算2〜3割、帯域7%」だった。5080と5090の差はほぼ全部が約2倍で、帯域も約1.87倍ある。下の2枚とは、差のつき方そのものが違う。

32GBでだけ収まる帯を割り出す

AI用途で最初に効くのは、モデルがVRAMに丸ごと載るかどうか。そこで公表されているサイズを、16GBと32GBの枠に並べてみる。

RTX 5080 16GBRTX 5090 32GB0816243240GBqwen3:14b9.3GBgpt-oss:20b14GBFLUX.1 dev FP8 低VRAM14.9GBqwen3:30b19GBqwen3:32b20GBFLUX.1 dev BF16 低VRAM23.9GBFLUX.1 dev FP8 標準24.6GBgpt-oss:120b65GB → 枠外16GBの先は32GBまで間がない。19〜24.6GBの帯が、5090に払う差額の中身
横棒はモデルの表示サイズ(Ollamaライブラリ)とFLUX.1 [dev]のVRAM使用量(NVIDIA技術ブログ)。縦線が5080の16GBと5090の32GBの枠。アンバーの棒が「5090でだけ収まる」帯。実行時はこれに文脈(KVキャッシュ)の分が乗るので、枠ぎりぎりのモデルは余白を見て判断する。

Ollamaライブラリの表示サイズは、qwen3:14b が9.3GB、gpt-oss:20b が14GB、qwen3:30b が19GB、qwen3:32b が20GB。gpt-ossのページには、20bはMXFP4量子化により16GBのメモリでも動くと書かれている。

画像生成のFLUX.1 [dev]は、NVIDIAの技術ブログによるとTensorRTの標準モードでFP8が24.6GB、BF16が35.7GB。低VRAMモードならFP8が14.9GB、BF16が23.9GB(いずれも公称値)。同じブログは、標準モードのままでは24GB未満のRTX GPUで直接動かせないと書いている。

並べると線がはっきりする。15GB前後までは5080でも5090でも収まる。19〜24.6GBの帯(qwen3の30b・32b、FLUX.1 devのFP8標準モードとBF16低VRAMモード)は、32GBの5090でだけ収まる。

逆に、gpt-oss:120b は65GBで、どちらにも収まらない。gpt-ossのページ自体が「80GBのGPU1枚に収まる」という書き方をしている。5090でも大型モデルのすべてに手が届くわけではない。

ひとつ注意がある。ここでのサイズはモデル本体の分で、実行時はこれに会話の文脈を覚えておく領域(KVキャッシュ)が乗る。NVIDIAの技術ブログは、この領域がバッチ数と系列長に比例して増えると説明している。枠ぎりぎりのモデルは余白込みで見ておきたい。

容量ごとの目安はVRAM別の早見表と画像生成のVRAM目安にまとめてある。

速さも差がつく。ただし公称値の比まで

5070 Tiと5080では、LLMの文章生成で効く帯域が7%しか違わなかった。5080と5090は、ここも約1.87倍ある。

NVIDIAの技術ブログは、LLMがトークンを1つずつ出す段階(decode)はメモリ帯域で決まる処理だと説明している。現場でいえば、資材置き場(VRAM)の搬出口の太さで、重機(GPU)に荷が届く速さが決まる。5090は置き場が倍で、搬出口も約1.87倍太い。

だから同じモデルがどちらにも載る場合でも、文章生成は帯域の比に近い差が出うる、と読める。ただしこれは仕様表の比から引いた見立てで、実測ではない。実際の速度はソフト・量子化形式・設定で動く。

NVIDIAの発表は「5090は4090に対して最大2倍」とうたっているが、これはDLSS 4を含めた比較で、AIの推論速度の比ではない。この記事ではこの数字を判断に使わない。

電源とケースの段取りは一段重くなる

グラフィックスカード電力は360Wと575Wで215W差、NVIDIAが示す必要システム電力は850Wと1,000Wで150W差だ。補助電源も5090は8ピン×4、または600W以上のPCIe Gen 5ケーブルになる。

KY活動でいえば、ここは「電源とケーブルの容量不足」という危険を先に潰す段だ。BTOなら店側が電源を合わせてくれるが、自作やGPUの載せ替えで5090を考えるなら、電源の容量とケーブル規格を最初に確かめる。考え方はGPU換装と電源容量の記事に書いた。

Founders Editionの長さは両方とも304mm(公称値)。ただしメーカー製カードは寸法が違うとNVIDIAは記載している。575Wの熱をどう逃がすかはケースとエアフローの記事も参考にしてほしい。

BTO実売では差額がさらに開く

2026-10-09 16:03時点の本サイトのセールまとめで、FRONTIERの週替わりを見ると、RTX 5080機(FRGHLMB650/WS1006/NTK、Ryzen 7 9800X3D・メモリ32GB・SSD 1TB)が489,800円、RTX 5090機(FRGHLB850/WS0914、Ryzen 9 9950X3D2・メモリ64GB・SSD 2TB)が1,199,800円だった。

構成が違うので、差の710,000円がそのままGPUの差ではない。それでも、発表時の国内参考価格の差(195,000円)よりずっと開いている。価格はセールの入替で変わるので、最新は今週のセール機をVRAM基準で仕分けた表で確認してほしい。

見たい点 RTX 5080 RTX 5090
15GB前後までのモデル 載る 載る
19〜24.6GBのモデル 載らない 載る
65GB級(gpt-oss:120b) 載らない 載らない
帯域(文章生成に効く側) 基準 公称で約1.87倍
必要システム電力 850W 1,000W
BTO実売(FRONTIER、構成違い) 489,800円 1,199,800円

判定の線は、ここまでの公称値と公表サイズから俺が引いたもので、実測ではない。

結論

32GBが要るのは、19〜24.6GBの帯を日常的に使う人だ。30B級のローカルLLMを丸ごとVRAMに載せたい、FLUX.1 devを低VRAMモードに頼らず回したい、という使い方がこれにあたる。

その帯を使わないなら、5090の差額は帯域の約1.87倍という速さに払うことになる。手取り19万の俺の感覚でいえば、それはメモリやSSDに回したほうが「できること」が増える額だ。5080と同じ16GBで安く済ませる選択肢はRTX 5070 Ti vs 5080の比較で触れた。二刀流基準で並べた順位は二刀流ランキングにある。

最強の1台より、外せない2点を外さない1台。器の大きさが必要な理由を、先にモデル名とGB数で言えるかどうかだ。


※本記事はNVIDIA公式サイトの公称スペックと、出典を明記した公表データに基づく調査記事です。筆者による実測は含みません。価格は記載時点のもので、セールの入替や為替で変動します。

出典