ComfyUIの導入手順 — WindowsゲーミングPCにポータブル版/WSL2で入れて、fp8でVRAMを節約するまで
ComfyUIはポータブル版を展開してrun_nvidia_gpu.batを押せばブラウザで起動する。Desktop・ポータブル・WSL2の3ルート、CUDA 13.0とドライバ580の条件、fp8モデルと起動オプションを公式情報で整理する。

ComfyUIは「ブラウザで触るローカルサーバー」で、Windowsならポータブル版を展開して run_nvidia_gpu.bat を押すだけで立ち上がる。詰まるのは手順ではなく、ドライバの世代とVRAMの枠だ。
画像生成AIを自分のゲーミングPCで回すなら、いま一番名前が挙がるのがComfyUIだ。処理の部品(ノード)を線でつないで、1枚の絵ができるまでの工程を自分で組む。
この記事は「動かしてみた」記事ではない。ComfyUIの公式ドキュメント・GitHub README、NVIDIAとMicrosoftの公式ドキュメントに載っている手順と数値だけを、Windowsのゲーミングユーザー向けに並べ直した。
まず全体像。ComfyUIは「ブラウザで触るローカルサーバー」
ComfyUIの本体はPythonで動くサーバーだ。起動するとブラウザで http://127.0.0.1:8188 を開き、そこでノードを並べる(出典: ComfyUI公式 Windowsポータブル版ドキュメント)。
READMEには「コアは、頼まない限り何もダウンロードしない」と書かれている(出典: ComfyUI GitHub README)。モデルは自分で落として、決まったフォルダに置く方式だ。
入れ方は公式に3つある。
| ルート | 対象 | 同梱されるもの / 要件(公称) |
|---|---|---|
| Desktop版 | Windows・macOS | インストーラー形式。Windows 10以降、1インストールあたり4.85GB以上を推奨。ComfyUI-Managerは最初から有効 |
| ポータブル版 | Windows | 7zを展開するだけ。NVIDIA版はPython 3.13とPyTorch(CUDA 13.0)を同梱 |
| 手動インストール | Windows・Linux・macOS | git cloneとpipで自分で組む。WSL2はこのルート |
出典: ComfyUI GitHub README / Desktop(Windows)ドキュメント / ポータブル版ドキュメント。
現場でいえば、Desktop版は完成品のユニットハウス、ポータブル版は部材一式の現場搬入、手動インストールは基礎から打つ在来工法だ。どれでも建つが、手を入れられる範囲が違う。
入れる前に確認する土台。ドライバとGPU世代
先に確認すべきは、GPUとドライバの組み合わせだ。ここを外すと、どのルートでも起動で止まる。
- PyTorchとCUDA: 公式の要件は「RTX 20番台以降のNVIDIA GPUではcu130以上のPyTorchが必要」(出典: ComfyUI システム要件)
- ドライバ: NVIDIAの公表表で、CUDA 13.0 GAの最低ドライバはWindows・Linuxとも「580以降」(出典: CUDA Toolkit Release Notes)
- 古いGPU: READMEには、10番台など古い世代向けに
ComfyUI_windows_portable_nvidia_cu126.7zが別に用意されている。こちらはCUDA 12.6・Python 3.12の組み合わせだ(出典: ComfyUI README / ポータブル版ドキュメント) - Python: 3.13が推奨。3.14は動くが一部のカスタムノードで問題が出ることがあり、3.12は依存関係で困ったときの代替とされる(出典: ComfyUI システム要件)
- ブラウザ: Google Chrome 143以降を推奨、142以前は既知の問題があるとの記載(出典: 同上)
VRAMやメモリの最低容量は、システム要件ページには書かれていない。何GBで何が回るかは、モデル側で決まる。その目安は画像生成AIに必要なVRAMの記事にまとめてある。
ネイティブかWSL2か。違いは「Pythonがどこにいるか」だけ
ポータブル版とWSL2の手動インストールで迷う人は多いと思う。仕組みで並べると、違う場所は1か所しかない。
画面はどちらもブラウザで、GPUに届く最後の関門はWindows側のNVIDIAドライバ1本だ。NVIDIAのWSLガイドは「インストールが必要なドライバはこれだけ。WSLにLinux用のディスプレイドライバを入れないこと」と明記している(出典: NVIDIA CUDA on WSL User Guide)。
WSL2で動かしたサーバーも、既定のNAT構成ならWindows側のEdgeやChromeから localhost で開けるとMicrosoftのドキュメントにある(出典: Microsoft WSL networking)。
俺の整理はこうだ。画像を作るだけならポータブル版かDesktop版。LinuxのツールやPythonスクリプトと一緒に回すならWSL2。WSL2そのものの土台づくりはWSL2+CUDAの構築記事に分けてある。
公式の手順。ポータブル版とWSL2
ルートA: ポータブル版(Windows)
- GitHubのReleasesから
ComfyUI_windows_portable_nvidia.7zを落とす - 7-Zipで展開する。READMEには新しいWindowsならエクスプローラーでも展開できるとある
- 展開したフォルダの
run_nvidia_gpu.batをダブルクリックする - ブラウザで
http://127.0.0.1:8188を開く
フォルダには ComfyUI(本体)、python_embeded(同梱Python)、update(更新用バッチ)、run_cpu.bat が並ぶ。更新は update フォルダの update_comfyui.bat(最新コミット)か update_comfyui_stable.bat(安定版)を使う(出典: ポータブル版ドキュメント)。
パッケージを足すときは、システムのPythonではなく同梱側のpipを使う。
.\python_embeded\python.exe -m pip install <package-name>
ルートB: WSL2(Ubuntu等)に手動インストール
WSL2の前提は、Microsoftの手順で「Windows 11、またはWindows 10 バージョン21H2」、カーネル5.10.43.3以降だ(出典: Microsoft Learn「Enable NVIDIA CUDA on WSL 2」)。WSLの導入はNVIDIAガイドの通り wsl.exe --install と wsl.exe --update になる。
ComfyUIの手動手順は次の順だ。公式は「依存関係がシステムの他のものと衝突しうるので、独立した仮想環境が必要」としている(出典: ComfyUI 手動インストール)。
conda create -n comfyenv
conda activate comfyenv
git clone https://github.com/Comfy-Org/ComfyUI.git
pip install torch torchvision torchaudio --extra-index-url https://download.pytorch.org/whl/cu130
cd ComfyUI
pip install -r requirements.txt
python main.py
カスタムノードを入れるならComfyUI-Manager。 Desktop版は最初から有効だ。ポータブル版と手動インストールは、manager_requirements.txt を入れてから --enable-manager を付けて起動する(出典: ComfyUI-Manager インストール)。
.\python_embeded\python.exe -m pip install -r ComfyUI\manager_requirements.txt
.\python_embeded\python.exe -s ComfyUI\main.py --windows-standalone-build --enable-manager
手動インストール側は pip install -r manager_requirements.txt → python main.py --enable-manager だ。
fp8と起動オプション。重みを小さく載せる
起動したら、次の壁はVRAMだ。ここは段取り八分で、モデルを落とす前にファイルの大きさとVRAMの枠を見比べておく。
モデルの置き場所。 READMEの記載では、チェックポイントは models/checkpoints、VAEは models/vae に置く。Flux.1のフル版は diffusion_models・text_encoders・vae に分けて置く構成だ(出典: ComfyUI README / Flux.1 テキストto画像チュートリアル)。
fp8版を選ぶ。 公式のFluxチュートリアルは、fp8版を「fp16版より品質は下がるが、必要なVRAMが少ない」と説明している。fp8版の flux1-dev-fp8.safetensors は models/checkpoints に置く。テキストエンコーダーも、VRAMが厳しければ t5xxl_fp16 の代わりに t5xxl_fp8_e4m3fn を試せるとある(出典: Flux.1 チュートリアル)。
| ファイル(Comfy-Org/flux1-dev) | 表示サイズ |
|---|---|
| flux1-dev.safetensors | 23.8GB |
| flux1-dev-fp8.safetensors | 17.2GB |
出典: Hugging Face Comfy-Org/flux1-dev のファイル一覧、Flux.1 チュートリアル。
同じモデルでも、fp8版はファイルで6.6GB小さい。ただし、この数字がそのままVRAM使用量になるわけではない。READMEはVRAMとRAMの管理やモデルのオフロードを機能として挙げており、実際の使用量はワークフローや解像度で変わる。
起動オプション。 ソースの引数定義(cli_args.py)に載っている、VRAMまわりの主なものを並べる。
--fp8_e4m3fn-unet: 拡散モデル(unet)の重みをfp8_e4m3fnで保持する--fp8_e4m3fn-text-enc: テキストエンコーダーの重みをfp8で保持する--reserve-vram: OSや他のソフト用に確保しておくVRAMをGBで指定する--lowvram: 動的VRAMが有効なら何もしない。そうでなければテキストエンコーダーをCPUで動かす--novram: lowvramで足りないとき用--cpu: すべてCPUで動かす(遅い)
ゲームやブラウザを並べて開くなら、--reserve-vram で搬入口の一部を空けておく、という使い方が引数の説明に沿う。モデル置き場を別ドライブにしたいときは、extra_model_paths.yaml.example を extra_model_paths.yaml にコピーしてパスを書く(出典: ポータブル版ドキュメント)。
次の一歩
手順は公式の通りで終わる。決め手は、ドライバが580以降か、そして載せたいモデルがVRAMの枠に収まるかの2点だ。
- 20番台以降のGeForceなら、ポータブル版(CUDA 13.0)から
- 10番台なら、cu126版のポータブルを選ぶ
- VRAMが足りなければ、まずfp8版のモデルとテキストエンコーダーに替える
VRAM基準で仕分けた今週のセール機と二刀流ランキングは、その「GB」で選べるように組んである。最強の1台より、ドライバとVRAMの2点を外さない1台だ。
※本記事はComfyUI公式ドキュメント・GitHub README、NVIDIA・Microsoftの公開情報に基づく手順解説です。動作可否や速度はGPU・ドライバ・モデル・ワークフローにより変わります。最新の手順は各公式ドキュメントをご確認ください。
出典
- ComfyUI GitHub README(インストール3方式、ポータブル版のファイル名とPython 3.13・CUDA 13.0同梱、cu126版、手動インストールのコマンド、models/checkpoints・models/vae、オフライン動作): https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI
- ComfyUI システム要件(Python 3.13推奨、cu130が20番台以降で必要、Chrome 143以降): https://docs.comfy.org/installation/system_requirements
- ComfyUI Windowsポータブル版(フォルダ構成、run_nvidia_gpu.bat、127.0.0.1:8188、update_comfyui.bat、同梱pip、extra_model_paths.yaml): https://docs.comfy.org/installation/comfyui_portable_windows
- ComfyUI 手動インストール(conda、git clone、cu130のPyTorch、仮想環境が必要な理由): https://docs.comfy.org/installation/manual_install
- ComfyUI Desktop(Windows)(Windows 10以降、4.85GB推奨、データの保存先): https://docs.comfy.org/installation/desktop/windows
- ComfyUI-Manager インストール(manager_requirements.txt、–enable-manager): https://docs.comfy.org/manager/install
- ComfyUI Flux.1 テキストto画像チュートリアル(fp8版の置き場所、fp8とfp16の違い、t5xxl_fp8_e4m3fn): https://docs.comfy.org/tutorials/flux/flux-1-text-to-image
- ComfyUI cli_args.py(–fp8_e4m3fn-unet、–reserve-vram、–lowvram、–novram、–cpu の説明): https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI/blob/master/comfy/cli_args.py
- Hugging Face Comfy-Org/flux1-dev(flux1-dev-fp8.safetensors 17.2GB、flux1-dev.safetensors 23.8GB): https://huggingface.co/Comfy-Org/flux1-dev/tree/main
- NVIDIA CUDA Toolkit Release Notes(CUDA 13.0 GAの最低ドライバ580): https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-toolkit-release-notes/index.html
- NVIDIA CUDA on WSL User Guide(Windowsドライバのみ、WSLにLinuxドライバを入れない、wsl.exe –install): https://docs.nvidia.com/cuda/wsl-user-guide/index.html
- Microsoft Learn「Enable NVIDIA CUDA on WSL 2」(Windows 11 / Windows 10 21H2、カーネル5.10.43.3以降): https://learn.microsoft.com/en-us/windows/ai/directml/gpu-cuda-in-wsl
- Microsoft Learn「Accessing network applications with WSL」(NAT既定でWindowsのブラウザからlocalhostでアクセス): https://learn.microsoft.com/en-us/windows/wsl/networking