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OllamaのモデルがVRAMからあふれると何が起きるか — RTX 2070 SUPER 8GBでqwen3 8B/14B/32Bを実測

RTX 2070 SUPER(VRAM 8GB)のOllamaでqwen3の8B・14B・32Bを実測。全部載る8Bは66.82トークン/秒、37%があふれた14Bは7.6、32Bは0.02。ollama psの読み方とOLLAMA_MODELSの公式手順も整理する。

暗い搬入口から資材の一部がはみ出して外の仮置き場に積まれ、重機が外まで資材を取りに往復しているイメージ
実測値をもとにした説明図。画面のスクリーンショットではありません。

VRAMに収まる8Bは66.82トークン/秒、4割近くがあふれた14Bは7.6トークン/秒。モデルが2倍弱になっただけで、速さは約9分の1に落ちた。

Ollamaは、モデルがVRAMに入りきらなくても止まらない。残りをメインメモリ側に置いて動き続ける。

問題は「動く」と「使える速さ」が別物だということだ。手元のRTX 2070 SUPER機(i7-9700K/メモリ16GB)で、qwen3の8B・14B・32Bを測った。1台・1条件での測定で、環境が違えば結果は変わる。

測った条件。8GBの枠に、5.6GB・10GB・22GBを入れる

RTX 2070 SUPERのメモリは公称8GB GDDR6、256-bit、アーキテクチャはTuringだ(出典: NVIDIA GeForce RTX 20シリーズ比較)。

Ollamaのライブラリでは、qwen3の 8b-q4_K_M が5.2GB、14b-q4_K_M が9.3GB、32b-q4_K_M が20GBと表示されている(出典: Ollama qwen3 タグ一覧)。

現場でいえば、搬入口が8GBしかない現場に、小・中・大の3種類の資材を入れてみた形だ。

項目 内容
測定日 2026年9月28日
機材 i7-9700K / RTX 2070 SUPER(VRAM 8GB)/ DDR4 16GB / Windows 11 Home
ソフト Ollama 0.34.4 / NVIDIAドライバー 617.14
モデル qwen3:8b-q4_K_M / qwen3:14b-q4_K_M / qwen3:32b-q4_K_M
生成設定 temperature 0・seed 42・num_predict 256・num_ctx 4096・思考モードなし。プロンプトは全モデル同じ
回数 読み込み込みの1回目のあと、3回測った中央値。32Bだけ1回目が120秒を超えたため追加なし
32Bの例外 num_predict 32(256では30分を超えて終わらなかったため、短い生成で測った)
速さの取り方 Ollamaが返す eval_count(出力トークン数)÷ eval_duration(生成時間)

eval_countは「生成した出力トークン数」、eval_durationは「トークン生成にかかった時間(ナノ秒)」と公式APIに書かれている(出典: Ollama API generate)。

常駐アプリは普段どおり残したまま測っている。

結果。あふれた瞬間に、速さが1桁落ちる

VRAMに載った量(size_vram)メインメモリ側にあふれた量0GB8GB(VRAMの枠)16GB24GBqwen3 8B5.58GB100% GPU66.82 tok/sqwen3 14B10.15GB6.35GB(63%)7.6 tok/sqwen3 32B21.56GB6.35GB(29%)15.21GB があふれる0.02 tok/s32B読み込み中のメインメモリ空きは16,305MiB中15MiB、ページファイル使用3,939MiBVRAMの使用量(nvidia-smi)は8Bで5,961MiB、14Bと32Bはどちらも6,697MiB
手元のRTX 2070 SUPER機(メモリ16GB)でOllama 0.34.4の /api/ps が返した size(モデル全体)と size_vram(VRAMに載った量)を、同じ物差しで並べた。アンバーがVRAM側、灰色がメインメモリ側。破線の8GBがVRAMの枠で、14Bと32BはどちらもVRAM側が6.35GBで頭打ちになり、残りがあふれた。右端の数字は生成速度の中央値(32Bは1回・32トークンのみ)。

数値をそのまま並べる。

モデル 読み込み時のsize VRAM側 生成速度(中央値) 1回目の読み込み
qwen3:8b-q4_K_M 5.58GB 5.58GB(100%) 66.82 tok/s 14.24秒
qwen3:14b-q4_K_M 10.15GB 6.35GB(63%) 7.6 tok/s 25.16秒
qwen3:32b-q4_K_M 21.56GB 6.35GB(29%) 0.02 tok/s 83.89秒

8Bは全部VRAMに載り、66.82トークン/秒だった。

14Bはモデルが8Bの約1.8倍だが、速さは約9分の1の7.6トークン/秒になった。VRAM側は6.35GBで止まり、残りの約37%がVRAMの外に置かれた。

32Bは71%があふれた。32トークンを書くのに、読み込みを含めて1,818.03秒、約30分かかった。

「VRAMを少し超えたぶん少し遅くなる」のではない。超えた時点で段が1つ落ちる、というのが測った範囲での見え方だ。

そのときGPUとメモリはどうなっていたか

読み込み中に、nvidia-smiとWindowsのメモリ状況も記録した。

モデル VRAM使用(nvidia-smi) GPU使用率 メモリ空き(16,305MiB中) ページファイル使用
8B 5,961MiB 96% 11,401MiB 1,625MiB
14B 6,697MiB 13% 8,057MiB 1,592MiB
32B 6,697MiB 0% 15MiB 3,939MiB

8BではGPU使用率96%だった。14Bでは13%まで下がっている。

VRAMの外に置いた分の計算を待つ間、GPUが手待ちになっていると読める。ただしこれは記録した数値からの推測で、内部の処理までは測っていない。

32Bでは、メインメモリの空きが15MiBまで減り、ページファイル(ディスク上の仮のメモリ)の使用が増えた。VRAM 8GBとメモリ16GBを足しても、OSや常駐アプリの分を引くと22GBの資材は置ききれない。

8Bと14Bを同じ質問・同じ設定で、Mac miniと同時に走らせた録画がある。左が2070 SUPERだ。

qwen3 8Bで同じ質問を2台に同時送信した完了画面。RTX 2070 SUPER側は66.43トークン/秒
qwen3 8B(q4_K_M)の同時送信の完了画面(2026年9月28日)。完了時の数字はOllamaの計測値で、2070 SUPERは66.43トークン/秒。録画処理をMac側で同時に動かしているため、Mac側の値は単独測定より低い。
qwen3 14B(q4_K_M)の同時送信の実時間録画(2026年9月28日)。2070 SUPERはモデルがVRAMに収まらず(VRAM側63%)、録画中の値は7.18トークン/秒。8Bでは左のほうが速かったのに、14Bでは文字の出がはっきり遅くなる。

録画したMP4を見る

qwen3 14Bの同時送信の完了画面。2台の出力した文章は同じ
14Bの完了時の画面。出力された文章は2台で同じで、違うのは速さだけ。

Mac側の結果は、別の記事で詳しく扱う。

あふれているかは ollama ps で分かる

自分のモデルがVRAMに収まっているかは、ollama ps で確かめられる。

公式FAQによると、PROCESSOR欄が「100% GPU」なら全部GPU、「100% CPU」ならメインメモリ、「48%/52% CPU/GPU」のような表示なら両方に分かれている(出典: Ollama FAQ)。

APIの /api/ps なら、size(モデルの大きさ)とsize_vram(VRAM使用量)がバイトで返る(出典: Ollama API ps)。今回の14Bの記録はこうだった。

   "size": 10153539663,
   ...
   "size_vram": 6354097929,
   "context_length": 4096

6,354,097,929 ÷ 10,153,539,663 で約63%。これが表のVRAM側の割合だ。

ちなみにOllamaの既定のコンテキスト長は4096トークンで、並列リクエストを増やすと必要なメモリは OLLAMA_NUM_PARALLEL × OLLAMA_CONTEXT_LENGTH に比例して増える、と公式FAQにある(出典: Ollama FAQ)。今回はnum_ctx 4096で固定しており、コンテキスト長を変えた比較はしていない。

走らせる前に ollama ps で「100% GPU」かを見る。これだけで、遅さの原因の当たりがつく。

OLLAMA_MODELSで、モデル置き場をCドライブ以外へ

あふれる・あふれないの話とは別に、モデルを何本も試すとディスクが先に埋まる。今回の3本だけでも、ライブラリ表示で5.2GB+9.3GB+20GBだ。

Windowsでの既定の置き場は C:\Users\%username%\.ollama\models で、環境変数 OLLAMA_MODELS で変えられる(出典: Ollama FAQ)。公式の手順は次のとおりだ(出典: Ollama FAQ、Ollama Windows)。

  1. タスクバーのOllamaを終了する
  2. 設定(Windows 11)またはコントロールパネルで「環境変数」を検索する
  3. 「アカウントの環境変数を編集」を開き、OLLAMA_MODELS を新規作成して置き場のフォルダを指定する
  4. OK/適用で保存し、スタートメニューからOllamaを起動し直す

公式のWindows向け説明では、インストール本体に最低4GB、モデル用に「数十〜数百GB」の空きが別に要るとしている(出典: Ollama Windows)。

ただし、置き場を移しても VRAMの枠は1MBも増えない。置き場は資材置き場、VRAMは搬入口だ。ディスクの選び方はSSD増設の選び方、Ollama自体の入れ方はOllama導入手順にまとめてある。

まとめ。8GBで選ぶなら「全部載るサイズ」

測った範囲で言えるのは次の3つだ。

  1. VRAM 8GBのRTX 2070 SUPERで、全部載ったqwen3 8Bは66.82トークン/秒だった
  2. 37%があふれた14Bは7.6トークン/秒で、約9分の1に落ちた。GPU使用率も96%から13%に下がった
  3. 32BはVRAMとメモリを足しても置ききれず、0.02トークン/秒。32トークンに約30分かかった

8GBのGPUでローカルLLMを使うなら、ollama ps が「100% GPU」になるサイズを選ぶのが基準になる。VRAM別に載るモデルの目安はローカルLLMのPCスペック早見表、画像生成で8GBがどこまで動くかはSDXLの実測記事にある。

14B以上を常用したいなら、枠そのものを広げる話になる。今週のセール機をVRAM基準で仕分けた表と二刀流ランキングを置いておく。最強の1台より、載せたいモデルが「100% GPU」になる枠、この1点を外さない1台だ。


※本記事は公開情報と筆者の手元環境(RTX 2070 SUPER機・1台・2026年9月28日)での測定に基づく解説です。各モデル1条件の測定で、ドライバー・Ollamaの版・常駐アプリ・空きメモリ・コンテキスト長で結果は変わります。OLLAMA_MODELSの変更による速度の違いは測っていません。最新の仕様は各公式ドキュメントをご確認ください。

出典