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RadeonでローカルAIは使えるか — RX 9070 XTとROCm・Vulkan・DirectML、Ollama/ComfyUIの公式対応を仕分ける

RX 9070 XT(16GB)でOllamaとComfyUIは動くのか。AMDのROCm互換表、Ollama GPUドキュメント、ComfyUI README、DirectMLの現状を読み、WindowsとLinuxで通れる道を公式記載の範囲で整理した。

一台の重機に向かって、整備された道と、迂回路と、通行止めの道が分かれて伸びている現場のアイソメ図
AI生成のイメージ画像です

RadeonでもローカルAIの道はある。ただし通れる道はOSとツールで変わり、RX 9070 XTはWindowsのOllamaのROCm一覧に載っていない。

ローカルLLM用PCのVRAM早見表では、「LLMは両対応、画像生成はNVIDIAが第一導線」と一節だけ書いた。この記事はその続きで、Radeonを候補に入れたい人向けに、公式資料の記載を道ごとに並べ直す。

俺はRadeonを持っていない。だからここに書くのは、AMD・Ollama・ComfyUI・Microsoftの公式ページに書かれていることだけだ。動作の保証ではなく、「公式がどの道を案内しているか」の整理として読んでほしい。

RX 9070 XTの公式スペック(AMD公式、公称値)

まず器を確かめる。AI用途で比べられやすい、同じ16GBのRTX 5070 Tiと並べた。

Radeon RX 9070 XT GeForce RTX 5070 Ti
VRAM 16GB GDDR6 16GB GDDR7
メモリインターフェース 256-bit 256-bit
メモリ帯域幅 最大640 GB/s 896 GB/s
Infinity Cache 64MB —
演算ユニット 64 CU / AIアクセラレータ128基 —
消費電力 Typical Board Power 304W グラフィックスカード電力 300W
電源の目安 最小推奨電源 750W 必要なシステム電力 750W
バス PCIe 5.0 x16 —

出典: AMD公式 Radeon RX 9070 XT製品ページ、RTX 5070 TiはNVIDIA公式と比較ページ(いずれも2026-10-13閲覧)。

器の大きさは同じ16GBだ。だから「どのサイズのモデルが載るか」という話は、RTX 5070 Tiと同じ線で考えてよい。容量の目安はRTX 5070 Ti vs 5080の比較に書いた。

違うのは、そのGPUにAIツールが届くまでの道のりだ。NVIDIAはCUDAという一本の太い道がほぼ全ツールに通っている。Radeonは、ROCm・Vulkan・DirectMLと道が分かれていて、ツールとOSごとに通れる道が違う。

道は3本。ROCm・Vulkan・DirectML

公式資料に出てくるRadeon向けの道は3本ある。それぞれの立ち位置を先に押さえる。

Windows 11OllamaROCm v7(Windows一覧はRX 7000番台まで)OllamaVulkan(既定で有効・追加GPUの道)ComfyUIAMDのPyTorch(ROCm)・gfx1201(旧来)DirectML(保守モード・新機能なし)Linux(Ubuntu)OllamaROCm v7(Linux一覧に9070 XTあり)ComfyUIPyTorch rocm7.2(pipで導入)RX 9070 XT16GB GDDR6gfx1201同じカードでも、どのOSで・どのツールを使うかで通れる道が変わる
左がAIツール、中央が公式資料に書かれた経路、右がGPU。アンバーは公式資料が9070 XT(RDNA 4)向けに案内している経路(Vulkanはカード名の一覧ではなく「追加GPUの道」としての案内)、点線の灰色は9070 XTが対応一覧に無い経路、薄い灰色は保守モードの経路。出典はOllama GPUドキュメント、ComfyUI README、AMD ROCm互換表、Microsoft DirectML README。

ROCmは、AMDのGPU計算用ソフト一式だ。NVIDIAでいうCUDAの位置にあたる。AMDの互換表は、執筆時点の最新をROCm 7.2.1としている。

Vulkanは、もともとグラフィックス用の共通APIだ。Ollamaは、ROCmの一覧に無いGPUへの対応をVulkanで補う書き方をしている。

DirectMLは、Windows向けのMicrosoftの機械学習ライブラリ。ただしGitHubのREADME冒頭で「maintenance mode」と明記され、新機能や機能更新は予定されていない。Windows 11 24H2以降ではWindows MLの利用を検討するよう案内されている。新しく組むなら、ここを本線にする理由は薄い。

現場でたとえるなら、ROCmは元請けが整備した専用道路、Vulkanは誰でも通れる一般道、DirectMLは補修だけ続く旧道だ。どれを通るかで、段取りの手間が変わる。

Ollama: LinuxはROCm、Windowsの9070 XTはVulkanの道

OllamaのGPUドキュメントは、OSごとにAMDの対応一覧を分けて載せている。

LinuxはROCm v7のドライバーが必要で、amdgpu-install で入れる。対応一覧にはRX 9070 XT・9070・9070 GRE・9060 XTが入っている。RX 7000番台や6800以上の6000番台も並ぶ。

Windowsは「ROCm v7 / HIP7に対応したドライバー一式」が必要。ところがWindowsの対応一覧は、RX 7900 XTX・7900 XT・7900 GRE・7800 XT・7700 XT・7600 XT・7600とRadeon PROの一部だけで、RX 9000番台は載っていない。

その代わりにVulkanの道がある。ドキュメントによると、VulkanはWindowsとLinuxで使え、追加のGPU対応はVulkanで提供される。Windowsでは多くのGPUメーカーのドライバーにVulkanが同梱されていて、追加の設定は要らない。Linuxは多くのディストリで追加の部品を入れる必要がある。

ただし、9070 XTがWindowsのVulkanで動くかどうかを、ドキュメントはカード名で約束していない。ここは「公式一覧に載るROCmの道」と「一覧の外を補うVulkanの道」の違いとして読むのが安全だ。

ほかに公式に書かれている注意点を3つ挙げる。

  • 一覧に無い古いAMD GPUは、Linuxで HSA_OVERRIDE_GFX_VERSION="10.3.0" のように近い世代として扱わせる方法が案内されている
  • 一部のLinuxでは、ollama ユーザーを render グループに入れる必要がある
  • Vulkanを止めるときは OLLAMA_VULKAN=0、ROCmのGPUを選ぶときは ROCR_VISIBLE_DEVICES を使う

Ollamaそのものの入れ方は、Ollama導入手順(WSL2/ネイティブ)にまとめてある。

ComfyUI: WindowsにもAMD用の手順がある。ただし版の表記が割れている

画像生成のComfyUIは、READMEにAMD向けの節を3つ持っている。Linux、Windows、そしてROCm公式対応外のカード向けだ。

Linuxは、ROCm版のPyTorchをpipで入れる。安定版の指定は https://download.pytorch.org/whl/rocm7.2 だ。

Windowsの節は「ROCm 10.0」と題されている。条件は、Windows 11、最新のAMDグラフィックスドライバー、64-bitのPython 3.13。AMDのマルチアーキテクチャ版PyTorchを使い、別途HIP SDKを入れる必要はないと書かれている。GPUごとの指定表では、RX 9070 / XTが device-gfx1201、RX 9060 / XTが device-gfx1200 だ。

pip install --index-url https://stable.repo.amd.com/rocm/whl-next/ "torch[device-all]==2.13.0+rocm10.0.0" "torchvision[device-all]==0.28.0+rocm10.0.0" "torchaudio==2.11.0.2+rocm10.0.0"

(ComfyUI READMEの記載どおり。device-all を自分のGPUの値に置き換えると容量を減らせる、とある)

一方、AMDのWindows互換表は、PyTorch 2.9とROCm 7.2.1の組み合わせを載せている。対応OSはWindows 11のみで、RX 9070 XT・9070・9060 XTが並ぶ。注記には「Windows版PyTorchはROCm 7.2.1の部品を含むが、ROCm全体はまだWindowsで対応していない」とある。FP8はRDNA 4(9070 XT・9070・9060 XT)でだけ対応とも書かれている。

つまりページによって示す版が違う。導入するときは、その時点のComfyUI READMEとAMDの互換表を両方開いて、新しいほうの手順に合わせるのが段取りとして確実だ。

READMEにはWindows向けの「Portable for AMD GPUs」の配布もある。ただし、どのGPUに対応するかはREADMEに書かれていない。

ComfyUIの導入全体の流れはComfyUI導入手順を参照してほしい。

Linuxで組むなら、公式の線はいちばん太い

AMDのLinux互換表(ROCm 7.2.1)は、Ubuntu 24.04.4(HWE、カーネル6.17)・Ubuntu 22.04.5(HWE、カーネル6.8)・RHEL 10.1を対応OSに挙げている。GPU表にはRX 9070 XT・9070・9070 GRE・9060 XT・9060が入る。

同じ表で、PyTorch 2.9.1・TensorFlow 2.20・ONNX Runtime 1.23.2・Triton 3.5.1が「Official production support」とされている。OllamaもComfyUIもLinuxならROCmの道で案内されているので、Radeonでいちばん迷いが少ないのはLinuxだ。

逆に言えば、Windowsだけで完結させたい人ほど、Radeonは道の確認が一段増える。KY活動でいえば、「使いたいツールがそのOSで、そのカードを一覧に載せているか」を買う前に指差し確認する段だ。

どう選ぶか(公式記載から引いた判定)

やりたいこと Radeon RX 9070 XT RTX 5070 Ti
LinuxでローカルLLM(Ollama) ROCm一覧に掲載 CUDAで対応
WindowsでローカルLLM(Ollama) ROCm一覧に無し。Vulkanの道 CUDAで対応
Linuxで画像生成(ComfyUI) ROCm版PyTorchの手順あり CUDA版の手順あり
Windowsで画像生成(ComfyUI) AMD版PyTorchの手順あり(版表記がページで違う) CUDA版・ポータブル版あり
新しく組むDirectML 保守モード —

この判定は公式ページの記載から俺が引いたもので、実測ではない。動作の安定性や速度は、ドライバーやツールの版で変わる。

Linuxで組むつもりがあり、触るツールがOllamaとComfyUIに収まるなら、Radeonは候補に入る。Windowsで、ツールを次々に試したいなら、どのツールも最初にCUDAを案内しているNVIDIAのほうが段取りは少ない。

今週のセール機はVRAM基準で仕分けた表に、二刀流基準の順位は二刀流ランキングにまとめている。どちらもGPUのVRAMを最初の物差しにしているので、Radeon機を見るときもそのまま使える。

結論

Radeonで詰まるのは器の大きさではなく、道の数だ。RX 9070 XTの16GBは、載るモデルの線ではRTX 5070 Tiと同じ。違うのは、OSとツールごとに「公式の一覧に載っているか」を確かめる手間だ。

最強の1台より、外せない2点を外さない1台。Radeonなら、その2点は「使うOS」と「使うツールの対応一覧」だ。


※本記事はAMD・Ollama・ComfyUI・Microsoft・NVIDIAの公式資料に基づく調査記事です。筆者による実測は含みません。対応状況はドライバーやツールの更新で変わるため、導入時は各公式ページで最新の記載を確認してください。

出典